実施体制

実施に当たっての体制

本事業は、地球観測衛星データによる環境モニタリングの研究実績を有する本学の情報技術センターと、災害対応において自治体等と積極的に連携をする安全・安心プロジェクトを組み合わせた新たな取組として実施するものである。

また、先の熊本地震で大きな被害を受けた熊本キャンパスとその震災経験の共有等を目指すほか、全国のキャンパスから文理を問わず多様な分野の研究者が参画する。主たる研究者を中心に、本学の学部・研究科・研究所が連携し実施される。また本事業は、研究に関する学園の基本方針の検討・決定を担う、東海大学総合研究機構の運営委員会(委員長:学長)において、承認を受け実施する。加えて、本事業が担うブランディングについては、本学の学部長・事務系部局の長が全員出席し、学内の各種方針を決定する学部長会議において、その内容の承認を受けている。
これらの学内承認を基に、本学全体の広報を担う「大学広報部」、大学全体の経営戦略と学外諸機関との連携窓口となる「大学運営本部」、海外の機関を対象に広報・連携窓口となる「グローバル推進本部」、研究成果の発信や産学官連携研究活動を担う「研究推進部」、これら4部門と連携する。これら4部門はそれぞれ独自の実績・知見を有する。これらの活用により、本事業が効果的に広報できると共に、国内外の諸機関と円滑な連携体制を構築することができ、大学全体でブランディングに向けた体制となっている。

自己点検・評価体制及び外部評価に伴うPDCAサイクル

本事業は、東海大学総合研究機構が戦略的および重点的に取り組む学際融合研究を支援するプロジェクト研究に指定されている。学内規程に則り、プロジェクト研究課題は、年次毎策定される研究計画に基づき研究を実施した後、毎年度末に進捗状況(論文投稿数や学会発表数、マスコミでの研究成果の公開数など)を書面・口頭にて東海大学総合研究機構運営委員会へ報告することとなっている。ここでの評価を踏まえ、研究計画を再構成することで、実施期間中PDCAサイクルが構築されている。これに加え、国内外の大学・研究所企業等の有識者や、本事業による成果を提供する団体・自治体等からの意見を、ワークショップ・国際シンポジウム・国際学会などで聴取する。得られた意見・評価は、年次の東海大学総合研究機構運営委員会への報告内容に加味することで、外部評価を取り入れたPDCAサイクルとなる。なお、口頭での進捗報告の際には、研究内容に関する科学的意義や社会的意義についての討論も含めた形とする。これにより、学内外の意見を踏まえた、自己点検・評価体制を構築している。

学外との有機的な連携体制

本事業は、参画する研究者個人及びグループが、既に十分な共同研究・社会連携体制を国内外の機関と構築している。情報技術センターでは、海外の大学(アラスカ大学、ブレーメン大学、台湾中央大学等)と衛星データ受信・即時共有等に関する研究実績や、中国科学院の研究者との大気モニタリングなどに関する連携実績がある。また、安全・安心プロジェクトでは神奈川県・静岡県などの近隣自治体との意見交換を含めた社会連携体制が構築されている。これらについては、非常に強固な関係を築けており、本事業実施においても活かされる内容となる。
また、本事業が目指すことは、災害・環境情報を近隣自治体・住民に効果的に提供し、更にはその取組を海外に波及させることである。それぞれの連携実績を補完し合い、学内部局とも連携し、新たな連携についても模索する。

 

ブランディングの取組

大学の独自性

本学は、全国に8キャンパス18学部77学科・専攻・課程を有する総合大学である。工学部、情報理工学、理学部、海洋学部、農学部等多岐にわたり、学際・融合領域・領域間連携研究に適した体制となっている。また、研究活動によって得られた「知」の財産の社会還元を重要視し、これまでも前述の内容を始め数多くの国際貢献・社会貢献を実施してきた。近年は、グローバル人材の育成と地域社会に貢献する人材の育成を標榜している。本事業は、それらを有機的に結びつけ、かつ具体的に実践する取り組みであり、大学のブランド力、独自性を強化するものである。

グローバルな視点での取組の意義

環境変動や災害は、国境や地域の枠を超えて発生・拡散する事象であるため、衛星データの解析・共有を通し、国際的な枠組みで相互の安全・安心の実現に取り組む必要がある。アラスカ大学とは、火山監視を目的とした衛星データ共有実験を実施した経験があり、双方が類似の衛星受信システムを運用している。また、中国科学院のリモートセンシング研究所(RADI)とは長年交流があり、昨年度、本学情報技術センターでポストドクターをしていた中国人研究者が教授として赴任した。現在、共同研究協定の締結作業を行っており、この取組で、大気汚染等、東アジアが抱える問題の情報共有と改善のための共同研究が可能となる。また、NASAとは本年3月に協力協定を締結し、衛星データによる海氷観測の研究で協力体制にあり、研究者が本学に1月半滞在した。このように、本事業の国際協力は具体的な実績と、協力関係にある先進的な組織との共同研究を前提としており、実現性は極めて高い。こうした国際協力での具体的な成果は、本学の国際的なブランディングにつながる。

ローカルな視点での取組の意義

地域連携では、教員・学生が地域の住民、地方自治体と連携してSNS、インターネット等を活用した災害情報等の共有の仕組みを構築し、その普及を図ることにより、本学が目指すパブリックアチーブメント(PA)型教育(若者が社会活動を通して民主社会における市民性を獲得していく学習プログラム)が実践できる。すでに本学が地域連携活動の一環として開発したTwitterを活用した災害情報共有システムが神奈川県平塚市の帰宅困難者対策訓練において利用ツールとして採用され、さらにその様子がマスコミに紹介されるなど、本学の「安全・安心」に関わる研究・社会活動がブランド向上に貢献しつつある。本事業では、全国に展開するキャンパスの利点を活かし、近隣自治体や住民からの意見を積極的に取り入れ、災害大国日本における先進的な取組みとして海外にも積極的に研究成果の展開を図る。これにより、本学の全国的・国際的ブランド力強化の推進に貢献する。

広報の戦略・方法

本学が関係機関に行ったアンケートでも、熊本地震により被害を受けた本学がこうした事業を実施することに対して期待が寄せられている。国際連携実績を加味し、各国の専門家にも本事業を広く紹介し、災害・環境監視に関する取組の重要性を示す。具体的には、次の方法で実施する。

❶ Webページ開設・ニュースレター発刊

: Webページでは本事業の取組みを広く紹介し、SNSとの連携、英語対応も行う。あわせて定期的にニュースレターを発行し、最新の研究成果を広く発信する。

❷ 学外向けイベント開催・国際学会での協力展開

: 一般市民を対象としたワークショップと、世界に向けた研究成果発信の場として国際シンポジウムを各地のキャンパス等でそれぞれ開催する。また国際学会で特別セッションを開催し、成果報告を行うと共に新しい国際協力の展開に取り組む。本事業代表者が責任者を務める、リモートセンシングに関するアジア最大級の国際会議アジアリモートセンシング会議(ACRS)において、本事業に関するワークショップを開催し、広報を図ると共に、枠組みをさらに広げる。

❸ 研究者の相互交流

: 短・中期で本事業に関わる本学教員を毎年1~2名、海外研究機関や国際学会に派遣する。加えて研究者を毎年1~2名海外から招聘する。これにより海外とのより強固な共同研究体制の構築が可能となるほか、海外発表等により大学ランキング等の向上につなげる。

大学運営へ反映する展望

グローバルな視点での取組では、環境変動等の学際的なテーマ別に学部学科の枠を超えた横断的な研究チームを編成し、学内の研究者交流を促進する。また、海外の大学・研究機関との衛星データ共有、研究協力により、大学として国際貢献とグローバル人材の育成を進める。ローカルな視点での取り組みでは、SNS、被災者ケア、地域連携等、自然科学と社会科学の枠を超えたチーム編成を行い、本学の特徴である文理融合の体制を強化する。加えて、次の学内機関との連携を進める。

❶ 大学広報部との連携

: 防災やSNS、リモートセンシングなど高校生にもイメージしやすい利点を活かし、大学案内等の本学が発行する広報誌での積極的な広報を行い、受験生獲得等へも貢献する。

❷ グローバル推進本部との連携

: 海外への成果公開は、国際大学ランキング向上に寄与する。国際連携の窓口を担うグローバル推進本部と連携し、ランキング向上に努めると共に、留学生の獲得や新たな国際研究等の呼び水につなげる。

❸ 大学運営本部・To-Collabo推進室との連携

: 近隣自治体や企業に対する窓口として大学運営本部と、実際の地域貢献活動を行うにあたりTo-Collabo推進室と連携する。ここの学外連携実績を活かし効果的な地域連携と成果の実現につなげる。

熊本地震の被災大学として震災による被害からの復興も意識し、全学で“社会の安全・安心に寄与する東海大学”のブランディングを図る。